60歳を過ぎると、病院に通う頻度も、医療費の額もじわじわ増えてきます。
私は65歳で、障害手帳は持っていませんし、介護保険の適用もまだ受けていません。
そんな私でも、制度をきちんと知って使ったことで、医療費の負担を大きく軽減できました。
この記事では、私の体験をもとに、60代から押さえておきたい医療制度の基礎と実践的な活用術をわかりやすくまとめています。
「子供に迷惑をかけない終活」の第一歩として、医療費の管理と制度の知識は欠かせません。
60代私の医療費月3万円増負担を逆転した制度活用術
60代になってから、持病の悪化や通院の頻度が増えたことで、毎月の医療費が約3万円増加しました。
「年金の中でどうやってやりくりしよう」と不安になる中、制度を使えばここまで下げられるのか!と実感した私の体験談をご紹介します。
医療費増が起きた3つの生活変化
医療費が急に増えたのは、以下のような生活の変化が重なったからです。
- 高血圧と膝痛で整形外科と内科の通院が月3回に増加
- 眼科で白内障の診断を受け、定期検査が追加
- 通院ついでに薬局での購入額も増加(湿布・目薬など)
これまで月5千円ほどだった医療費が、気づけば月3〜4万円。年金暮らしでは見過ごせない出費です。

病院の受付で「今回1万2千円です」と言われたとき、思わずレジで財布を探る手が止まりました…。
制度利用で年間15万円節約した私の実録
そこで見直したのが、「高額療養費制度」や「限度額認定証の取得」、そして通院交通費の節約方法です。
市の福祉課で相談し、申請をすすめてもらったことで、月1万2千円近くが後日返金されました。
さらに、医師に相談し、できるだけジェネリック薬を処方してもらうようにお願いし、通院回数を2回にまとめる調整も加えて、結果的に年間15万円近くの節約に成功。
子供へ請求書を回さない家計見直しポイント
一番心配だったのは、「娘に請求書を回すようなことにはなりたくない」という気持ちでした。
そこで、医療費を専用の家計簿で管理し、使いすぎている項目を見える化しました。
さらに、食費と光熱費の見直しで月8千円を確保し、医療費に回す仕組みに。
医療費が増えるのは自然なこと。だからこそ、制度と家計の両面から「自分でコントロールできる範囲」を広げることが大切なんですね。
高額療養費制度で自己負担を最大12万円カット
医療費が高額になったときに頼りになるのが、高額療養費制度です。
この制度を知っているかどうかで、家計への影響が大きく変わります。
私も、入院や複数の診療科の受診が重なった月に制度を活用し、実際に自己負担を12万円近く抑えることができました。
所得別上限早見表と私の場合の数字
高額療養費制度では、年齢と所得に応じて月ごとの自己負担限度額が設定されています。
所得区分 | 70歳未満の自己負担限度額(月額) |
---|---|
年収約370万円以下 | 約57,600円 |
住民税非課税世帯 | 約35,400円 |
年収約1160万円超 | 約252,600円+(医療費-842,000円)×1% |
私は国民年金+パート収入で年収約150万円だったので、自己負担の上限は約35,400円。
実際に膝の注射と内視鏡検査で合計14万円ほどかかった月に、約10万円が後日戻ってきました。
申請前に用意した2枚の書類チェック
高額療養費を受け取るには、診療月の翌月以降に健康保険組合へ申請が必要です。
私が提出したのは次の2枚の書類でした。
- 医療機関の領収書(通院・入院すべて)
- 健康保険証と振込先が確認できる書類のコピー(通帳やキャッシュカードなど)
電話で問い合わせたところ、申請用紙は郵送してもらえ、書き方も丁寧に教えてもらえました。
診療費立替ゼロで済んだ限度額認定証の威力
もう一つ便利だったのが、「限度額適用認定証」の存在です。
これを事前に申請しておけば、病院の窓口で最初から自己負担額までしか支払わずに済みます。
私は入院の予定が決まった段階で申請し、診療当日にはこの認定証を提示。
おかげで、退院時の会計が5万4千円で済み、「これなら安心して入院できる」と思えました。

申請のタイミングを逃すと、戻るのが数か月後になってしまうので、「予定がわかったらすぐ申請」が鉄則です。
医療費控除と障害者控除で税金を取り戻す私の確定申告3ステップ
病院や薬にお金がかかると、「何とか少しでも取り戻せないか」と思いますよね。
そんなときに活用したいのが、医療費控除と、条件によって使える障害者控除です。
私は確定申告に初めて挑戦し、合計約4万円が還付されました。
ここでは、実際にやってみてわかった手順と注意点を、3ステップでご紹介します。
控除対象をレシートアプリで一年分集計した結果
医療費控除では、1年間に支払った医療費が10万円を超えた分が控除対象となります(※所得により異なる)。
私はレシートをため込むのが苦手なので、レシートを撮影するアプリを活用しました。
たとえば「マネーフォワードME」などの家計簿アプリは、医療費だけをタグ付けして集計できて便利でした。
通院、治療、薬代、交通費(通院のための電車やバス)も忘れずに加えた結果、年間約18万円に。

病院までのバス代や市販薬も対象になるとは知らず、最初は6万円くらいしか計算していませんでした。
家族特例で追加2万円戻った障害者控除
私は障害手帳を持っていませんが、母の介護をしていた期間が一部対象となり、「同居親族の障害者控除」を受けられるとわかりました。
この控除は、同一生計で介護が必要な家族がいれば、手帳がなくても認定される場合があるそうです。
市役所で確認書類をもらい、税務署に添付して提出したところ、医療費控除とは別に約2万円の還付を受けることができました。
eTax送信で30分時短した申告フロー
以前は「確定申告って難しそう」と敬遠していた私ですが、eTax(ネット申告)を使ったら、驚くほどスムーズでした。
国税庁のサイトで控除額を入力し、マイナンバーカードで電子送信すれば、30分ほどで手続き完了。
領収書の提出も省略できるので、郵送や窓口に行く手間がなくなり、精神的ハードルが一気に下がりました。
- アプリで医療費の年間集計
- 障害者控除の該当を確認し書類入手
- eTaxで入力し、マイナンバーカードで送信
医療費や税金に関する情報は、知っているだけで年間数万円の違いになります。
介護保険を賢く使い月1万円サービスを受けた方法
65歳以上で介護認定(要支援・要介護認定)を受けると、「介護保険制度」の対象になります。
「まだ元気だから関係ない」と思っていた私ですが、軽度の不調や体力低下でも支援を受けられる仕組みがあると知り、大きな安心感を得ました。
ここでは、実際に私が受けた支援と、その手続きの流れをご紹介します。
要支援認定までに用意した2つの書類
腰・膝の痛みや疲れやすさが続いたため、地域包括支援センターに相談したところ、「要支援認定」を勧められました。
認定を受けるには、以下の書類が必要でした。
- 主治医意見書(かかりつけ医に依頼)
- 認定申請書(市区町村の窓口または郵送で提出)
結果、「要支援1」に認定され、週1回のリハビリサービスが利用できるようになりました。

サービス開始前は「他人に頼るのは抵抗あるな…」と思っていましたが、実際はとても丁寧で、自分のペースで参加できました。
デイサービス活用で自己負担1割でリハビリ
要支援1認定を受けたことで、ケアマネージャー(介護支援専門員)がつくことになり、通所リハビリ
を受けられるデイサービスを提案してもらえました。
交通費も含めて月1万円以上かかる内容でしたが、介護保険で9割給付され、自己負担は1割で済みました。
自分一人では情報が限られてしまうので、ケアマネとの定期的な面談は本当に心強い存在です。
「介護保険=重度の人向け」ではありません。軽い不調でも利用できる仕組みがあります。
自治体独自医療費補助を探し当てた検索キーワード5選
国の制度だけでなく、自治体独自の医療費補助も見逃せません。
私の住んでいる市では、健診補助、通院交通費補助、健康増進イベントの無料参加など、意外と充実した制度が用意されていました。
調べ方の工夫で、自分に合った補助を見つけることができます。
健診補助券で3千円節約したケース
健康診断の案内が届いたとき、「市の健診補助を使うとお得です」と小さく書かれていました。
調べてみると、65歳以上を対象に、がん検診や骨密度検査が無料〜500円で受けられることが判明。
実際に骨粗しょう症の検査を受けたところ、通常3,500円→500円で済み、助かりました。

市の広報誌にチラッと載っていたのを見逃さなかったのが幸運でした。
オンライン申請で並ばず済んだ市窓口裏ワザ
補助を受けるには「市役所での申請」が必要な場合が多いですが、最近はオンライン申請に対応している自治体も増えています。
私の市では、市の公式LINEアカウントから健診申込、書類の郵送依頼、申請状況の確認までができるようになっていました。
これを使えば、わざわざ平日に窓口へ出向く必要もなく、家で簡単に手続きが済みます。
毎年更新忘れを防ぐカレンダー登録法
自治体の補助制度は、年度ごとに更新や再申請が必要なケースがほとんどです。
私も一度更新を忘れて、半年間受けられるはずの補助が無効になった経験があります。
その反省から、Googleカレンダーやスマホの通知機能を活用し、「次回申請」や「有効期限切れ前」のリマインドを設定するようにしました。
- 「市区町村名+医療費補助」
- 「市区町村名+健診費用+無料」
- 「市区町村名+交通費+通院補助」
- 「市区町村名+高齢者支援制度」
- 「市区町村名+高齢者LINE申請」
「意外と身近な制度がある」と気づくだけで、支出がグンと抑えられる可能性があります。
生活保護医療扶助で治療費ゼロにできた友人事例から学ぶ
私の友人の中には、生活保護を受けながら医療扶助制度を活用している方がいます。
「生活保護=特別な人のもの」と思われがちですが、誰にでも必要になる可能性のある支援です。
この章では、友人の実体験をもとに、医療扶助の仕組みと利用の流れをご紹介します。
扶助決定までの所要日数と必要書類
友人が医療扶助を申請したのは、パートを辞めて収入がなくなり、持病の通院が続けられなくなったタイミングでした。
市の福祉事務所で相談し、申請から約2週間で扶助決定が下りたそうです。
- 本人確認書類(マイナンバーカード・健康保険証)
- 家計の状況がわかる資料(預金通帳・家計簿など)
- 医療機関の診断書(継続的な治療が必要な旨)
福祉担当者との面談では、現在の生活状況や支援の必要性について丁寧にヒアリングされたそうです。
医療扶助が適用される治療範囲と交通費
医療扶助は、通院・入院・薬代・検査・手術など、公的医療保険の対象となる治療はすべてカバーされます。
さらに、通院に必要な交通費(公共交通機関分)も申請すれば支給される場合があります。
友人は整形外科への定期通院と、整骨院でのリハビリ治療も含め、窓口負担ゼロで対応してもらえたとのことでした。

交通費は申請すれば出るということを、最初は本人も知らなかったそうです。
プライドを守りながら支援を受ける心構え
「生活保護は恥ずかしい」と感じる方も多いかもしれません。
でも友人は、「健康を取り戻して自立するための制度」だと前向きに捉えていました。
受給しながらも、医療費や生活費を正確に記録し、少しずつ就労支援にも取り組んでいる姿に、私も学ぶことが多かったです。
支援を受けることは、甘えることではなく「今を生きるための選択肢の一つ」なんだと思います。
誰かに頼る勇気が、これからの自立や再出発につながることもあります。
まとめ:医療費節約は子供に迷惑をかけない終活の第一歩
医療費は、年を重ねるごとに確実に増えていく支出です。
でも、制度や補助を上手に使えば、家計への負担を大きく軽減できます。
それは単なる節約ではなく、子供や家族に金銭的・精神的な負担をかけない終活の第一歩だと私は実感しました。
制度確認7項目チェックリスト
これまで紹介した制度や補助を、実際に活用できるかどうか一度確認してみるのがおすすめです。
- 高額療養費制度を使えるか(限度額証を持っているか)
- 医療費控除や障害者控除の対象になるか
- 介護保険の「要支援・要介護」認定を受けられるか
- 市区町村の医療費補助制度をチェックしたか
- 生活保護・医療扶助の対象となり得る状況か
- 通院や薬代の記録を家計簿で管理しているか
今日行う電話一本で未来の安心を確保
「何から始めていいかわからない」という方は、市の福祉課や地域包括支援センターに電話を一本かけてみるだけで十分です。
パンフレットを取り寄せたり、制度を案内してもらうことで、「自分が使える制度」に気づくきっかけになります。
終活は、遠い未来の話ではなく、今日できる行動の積み重ねです。

私も「制度のこと、難しそう…」と避けていましたが、電話1本で世界が変わりました。勇気を出して問い合わせるだけで、安心につながります。
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